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日本語力はどう測る?JLPTと在留資格、会話力の実力差をわかりやすく解説

外国人材の採用が一般化する中、企業の人事・教育担当者が最もよく使用する指標が「日本語能力試験(JLPT)」です。しかし、JLPTと実際の会話力には大きなギャップがあることをご存じでしょうか。

本記事では、日本語資格の基本・在留資格に必要なレベル・学習時間・会話力の実態を、企業活用という視点で整理します。

日本語能力試験(JLPT)の概要 ― 企業がまず理解すべきポイント

JLPT(日本語能力試験)は、1984年から実施されている世界標準の日本語テストで、N5〜N1の5段階で日本語力を評価する資格です。試験は年2回(7月・12月)行われ、語彙・文法知識・読解・聴解といった “インプット中心” の能力を測定しています。

採用基準や在留資格の確認にも使われるため、企業にとって欠かせない情報源と言えます。

しかし、JLPTは「読む・聞く」を評価する試験であり、企業が業務で求める話す・書くといったアウトプット能力は含まれていません。

そのため、

  • N2だから会話も問題ない
  • N1ならビジネス会話ができる

といった判断は誤解につながりやすい点に注意が必要です。

JLPTレベル別:目安学習時間・実際の会話力・任せられる業務

実務の現場では、同じNレベルでも会話の得手・不得手に大きな個人差があり、資格だけで業務適性を判断するとミスマッチが起こりやすくなります。

そこで以下では、JLPTのレベルごとに
・目安となる学習時間
・実際の会話力の傾向
・現場で任せられる業務の範囲

をひとつに整理しました。採用時に「どのレベルの人材が、どの業務に対応できるか」を明確にすることで、配属判断の精度向上や育成計画の最適化につながります。

N5|ごく基礎。単語レベルでのコミュニケーション

  • 目安学習時間:150時間
  • 会話力の実態:単語・簡単なフレーズで意思疎通、基本指示の理解が中心
  • 任せられる業務:単純作業、簡単な指示への対応

N4|簡単な日常会話が成立

  • 目安学習時間:300時間
  • 会話力の実態:ゆっくり話せば会話が成り立つ。報連相の基本ができる
  • 任せられる業務:簡単な報連相、短い会話対応

N3|“日常会話ができる”とみなせる水準

  • 目安学習時間:450〜600時間
  • 会話力の実態:職場でのやり取り・説明が可能で、現場コミュニケーションが安定
  • 任せられる業務:日常業務の説明、調整、簡単なメール対応

N2|ビジネス現場で自律して働けるレベル

  • 目安学習時間:800〜1000時間
  • 会話力の実態:会議での発言、説明、顧客対応、簡単な交渉が可能
  • 任せられる業務:会議参加、顧客対応、文書作成

※企業の採用基準として最も使用される水準

N1|高度な日本語運用力。だが会話力とイコールではない

  • 目安学習時間:1,200〜1,700時間
  • 会話力の実態:抽象的な議論が可能。ただし“話す力”は個人差が大きく、会話が苦手なN1保持者も多い(特に漢字圏)
  • 任せられる業務:商談、交渉、専門性の高い議論

企業が誤解しやすいポイント:N1=話せる、ではない

N1は日本語能力試験の最上級で、新聞の社説や専門的な論文を理解できる高度な読解力を示す指標です。企業では「顧客対応も任せられるレベル」と誤解されることが多いのですが、実際には N1=高い会話力とは限りません。

その理由のひとつが 前述のJLPTの構造にあります。JLPTは読む・聞くなどのインプット能力を測る試験で、会話や発話といったアウトプット能力を評価していません。

そのため、中国・台湾・香港・韓国といった漢字圏の学習者は、読解や語彙で高得点を取りやすく、会話練習が不十分でもN1に合格するケースが多く見られます。

実際の教育現場では、

          • N1合格者:読解は非常に強いが、会話が苦手
          • N3合格者:日常的に日本語を使っていると、会話が非常に流暢

といった“逆転現象”が頻繁に起こります。
これはまさに、資格がアウトプット力を反映しない典型例です。

N2・N1といった資格レベルだけでコミュニケーション能力を判断すると、現場でのミスマッチが生じやすくなります。実際の職場で起こるトラブルの多くは、語彙力や読解力ではなく、相互理解のための会話力不足が原因です。
たとえば、

          • 指示の正確な理解
          • トラブルの報告
          • 顧客対応
          • 同僚との調整

など、日常的に必要な“話す・聞く”の運用力は、JLPTの結果だけでは測れません。

企業こそ“会話力評価”を取り入れるべき理由

そのため企業では、「N1=会話もビジネス対応も問題なし」と一括りにしないことが重要です。特に顧客対応・現場指示・会議参加など、リアルタイムのコミュニケーションが求められる業務では、適切な採用・配置を行うため、

          • 面接での実際の会話力チェック
          • 実務に近いコミュニケーション課題
          • 必要に応じた実践型日本語研修

を組み合わせ、個々のアウトプット能力を確認する必要があります。

採用時に求める日本語力を定量化する際、JLPTの学習時間は一定の参考になります。しかし、実務で必要となる会話力は試験では測れないため、読解力(JLPT)と会話力(実践評価)の二軸で判断することが不可欠です。

さらに、どのレベルの日本語力を持つ人材に、どの業務を任せられるのかを事前に明確化しておくことで、配属時のミスマッチを防ぎ、育成効率を高め、離職リスクの低減にもつながります。

在留資格の基準ではN5以上、進学や専門学校ではN2以上が求められますが、外国人材が現場で活躍するためには、実際の現場で使える日本語運用力の可視化が重要になります。

主な日本語資格の比較

JLPTだけでは測りきれない日本語力を評価するために、企業や教育機関ではさまざまな日本語資格が活用されています。実務向け、ビジネス特化、スピーキング重視など、試験ごとに評価ポイントは異なります。

この章では、JLPT以外にも日本語力を客観的に示すために利用されている主な資格をまとめて紹介します。

資格 特徴/用途
JPT 在留資格・在留許可申請にも使える、実用的なコミュニケーション能力を測る試験 jptest.jp
BJT 800点満点のスコア制。ビジネス日本語に特化。実践的なビジネス場面での語彙や語法能力を評価 BJT
J.TEST 1991年開始。実用的・実務的な日本語を評価。レベルが A–C(上級)、D–E(中級)、F–G(初級)と分かれる  J.TEST実用日本語検定
NAT-TEST 文字・語彙、文法・読解、聴解で構成。CEFR対応。JLPT相当レベルが級で設定されており、実践力+学習指標になる Nat-Test
TOPJ 年6回実施。日本語+日本文化・企業慣習を理解する能力も測定。日系企業などビジネス+生活で使える日本語力を測る TOPJ
PJC / PJC Bridge PJC:JLPT N1・N2相当。ビジネス会話力など、就労を見据えた日本語力を測る。

Bridge:JLPT N3〜N5相当。基礎的な生活・学習日本語力を評価。法務省入国管理局でも基準として認定されている。 Sikaku

JOT コンピュータベース (CBT) 方式、顔認証あり。聴解・読解・文法・語彙・作文をオンラインで測れる。試験結果が即時に出るのが強み。いつでも何度でも受験可能 Jot
JPET スピーキング力を重点的に評価。文法・談話の能力も測定し、実践的な対話力をスコア化。 Jpet Sundai

在留資格と日本語レベル:どの程度が求められるのか

法務省は、日本語教育機関へ入学する外国人に対し、日本語教育の参照枠(CEFRベース)A1相当以上の日本語力があることを求めています。

暫定的には以下の資格がA1以上(基礎力あり)として認められています。

  • JLPT N5以上
  • J.TEST F級以上
  • NAT-TEST 5級以上
  • BJT 300点以上
  • TOPJ 初級A以上
  • STBJ 350点以上
    …など(全12種類)

また、日本語学校から大学や専門学校へ進学する場合は、授業を理解するためにJLPT N2以上が一般的な基準となります。

企業採用の場合でも、

  • 一般職・現場:N3〜N2
  • 技術職・オフィスワーク:N2〜N1

が目安として多く利用されています。

JLPT最新データから見る「実際の合格率」

2025年7月に実施されたJLPT(日本語能力試験)の公開データによると、各レベルの合格率は以下のとおりです。レベルが上がるほど難易度が大きく跳ね上がることが分かります。

20257 JLPT 合格率(国内+海外)】

レベル 受験者数 合格者数 合格率
N1 112,262 31,460 28.0%
N2 193,909 65,735 33.9%
N3 218,726 83,120 38.0%
N4 178,849 65,850 36.8%
N5 65,483 33,242 50.8%

たとえば、現在N4を目指す学習者の場合、合格率は約37%(10人中3~4人が合格)にとどまっています。
「N4なら簡単に受かるはず」という誤解も多い中、実際には基礎文法・読解・聴解の幅広い力が必要であり、学習者にとっては決して低いハードルではありません。

また、企業が採用時に求めることが多い N2N1の合格率は30%前後 にとどまっており、独学での突破が難しい現実も見てとれます。

RINXsOnlineの業種別に特化した外国人材向け日本語教育

RINXs Onlineでは、日本で働く外国人材に向けて、業種別に特化した日本語教育を提供しています。会話中心・資格試験中心の学習が多いなか、仕事に直結する専門日本語を学べる機関は限られており、当社は現場で使える実践力の習得を重視しています。

さらに、JLPTで合格率60%以上を継続して出している講師に指導を依頼しており、N3〜N1の全レベルで安定した合格実績を実現しています。「読む・聞く」に加えて「話す・書く」のアウトプットまで強化し、企業研修においても高い成果が評価されています。

日本語上級者向けの専門日本語にも対応し、職場で求められるコミュニケーション力や文書読解力を強化できます。また、特定技能評価試験(1号・2号)の対策も提供しており、制度理解から専門用語、試験形式の対策まで一貫してサポート。JLPT合格と実務で使える日本語力の両立を実現し、外国人材が日本で確実に活躍できる力を育成する学習環境をご提供しています。

対応分野

  • 特定技能16分野
    介護/外食業/宿泊/農業/漁業/建設/鉄道/林業
    自動車整備/航空/自動車運送業/飲食料品製造業
    工業製品製造業/ビルクリーニング/造船・船用工業/木材産業
  • その他分野
    IT・エンジニア など
    ※将来的には、物流倉庫の管理・廃棄物処理・リネン製品の供給なども追加予定

対応言語(30言語以上)

🔹多言語での補助サポートすることで、入門〜初級者も安心して学習が開始できます。

英語 / 中国語 / スペイン語 / アラビア語 / フィリピン語 / カンボジア語 / ネパール語 /ミャンマー語 / モンゴル語 / スリランカ語 / インドネシア語 / ベトナム語 / … ほか多数

コースラインナップ

🔹業務内容や学習目的に合わせてカスタマイズが可能です。

  • 会話コース:語彙・表現力を広げ、コミュニケーション能力を強化
  • 仕事の日本語:上司の指示理解、業界専門用語習得
  • 資格取得/評価試験対策:種試験対策、介護福祉士国家試験対策
  • JLPT試験対策:過去問演習+独自カリキュラムで合格支援
  • 特別会話コース:カジュアル〜フォーマルな表現を学び、実務に応用

豊富な講師陣と柔軟な学習スタイル

  • 高いスキルを持つプロ講師陣
    日本語教師・外国人講師ともに経験豊富。業界経験と日本語教育経験を兼ね備えた人材が多数在籍。海外在住・バイリンガル講師を含め、800名以上の規模。
  • 実践型・カスタマイズ可能なプログラム
    日常会話からビジネスシーンまで幅広く対応。ビジネスマナー、異文化理解、プレゼン方法など、ご要望や業種・課題に応じて個別設計が可能。初級から自然に習得できるカリキュラム。
  • グローバルかつ柔軟な受講環境
    オンライン24時間対応で、世界中からアクセス可能。海外在住講師による国際的な学習体制。
  • 安心のサポート体制
    補助金・助成金に関するコンサルティングも専門チームがサポート。

RINXsOnlineは、18分野に対応した実践的な日本語教育を通じて、外国人材が日本で安心して働き、長期的に活躍できる環境づくりを実現します。

RINXsOnline強み(他校との比較)

項目 RINXs 一般的な日本語学校 オンライン日本語スクール
講師数・特徴 800名以上。海外経験豊富なバイリンガル講師、業界経験者多数。24時間対応可能。 約50名。対面授業が中心。日本語を日本語で教える直接法。 約100名。若手講師が中心。オンライン授業が得意。
授業形態 受講生に合わせた学習方法(直接法/間接法)を選択可能。 対面授業中心。カリキュラム固定。 オンライン中心。決まったカリキュラムから選択。
レッスン内容 入門〜上級、日本語ビジネス、JLPT対策、業務用語(建設・介護・製造など)。 入門〜上級、進学コース、JLPT対策。 入門〜上級、日本語ビジネス、JLPT対策、会話コース。
教育費用サポート 助成金・補助金の申請支援が可能。 利用不可。 利用不可。
無料体験 あり(1回)。 各校により異なる(多くはなし)。 あり。
入会金・学費 入会金無料。費用は助成金活用で軽減可能。 入会金5〜10万円。年間85万円前後の学費。 学校による。
企業へのメリット
– 助成金活用によるコスト削減

– 業務直結の実践的日本語教育

– 柔軟な時間対応(24h)

– 定着率向上を支援

– 対面教育で基礎学習に強み

– 学生ビザ発給可能

– 手軽に学習可能

– 若い講師とのコミュニケーション重視



採用実績の紹介

教育機関から国内外の企業・団体まで幅広いパートナーと連携し、日本語教育・人材育成をサポートしてきました。その一部をご紹介します。

          • 教育機関

国公立・私立大学における留学生向け日本語補講や会話コース(N2レベル)、国内外の日本語学校での補講レッスンや入国資料翻訳、さらに研修センターにおける入国後講習、ゼロ初級者向け会話指導などを展開。英会話分野では子ども向け国際交流イベントの実施も行っています。

          • 国内事業者

監理団体・登録支援機関向けには、技能実習生のJLPT N1〜N5試験対策や会話コース(建築・製造・介護・外食など)、仕事の日本語(オフィス編)を提供。また、食品・機械メーカー、人材紹介会社、社労士事務所では、ビジネス日本語やJLPT N4対策、グローバル人材採用サポートを実施しています。

          • 海外事業者

インドネシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、ガーナ、スリランカの送り出し機関と協働し、現地教育や人材育成を支援。さらに、日系企業向けにはタイでのビジネス日本語、シンガポールでの初級/特別会話、フィリピンでのJLPT対策、マレーシアでの駐在員向け英語・中国語、中国でのIT人材向け面接対策を展開。日本語学校や人材紹介会社とは、教育コンサルティング、講師育成事業、人材・留学生紹介サポートなどを実施しています。

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