日本語教室と日本語学校の違い―制度改革の動きから見える“日本語教育のこれから”―
日本語教育の2つのかたち
外国人労働者や留学生の増加により、日本語教育に求められる役割は大きく変化しています。進学を目的とした日本語学習だけでなく、企業現場で必要とされる実務的なコミュニケーション力や、地域で生活するための日本語力まで、そのニーズはますます多様化しています。
一方で、日本語を学ぶ場には「日本語学校」と「日本語教室」という2つの形があり、目的・制度・教育内容・運営体制には大きな違いがあります。受け入れ企業や自治体が最適な教育機関を選ぶためには、こうした違いを正しく理解することが不可欠です。
さらに近年は、制度改革の進展とともに、両者の強みをどのように組み合わせ、より柔軟で実効性の高い日本語教育モデルを構築するかが重要なテーマとなっています。本稿では、日本語教育の現状と制度改革の流れを整理し、これからの時代に求められる「選び方」の視点についてご紹介いたします。
日本語学校とは――制度で質を担保する日本語教育機関
日本語学校とは、日本語を母語としない人を対象に、第二言語として日本語を教育する機関です。
法務省から告示を受けた教育機関は、留学生に「留学」の在留資格を付与することができます。制度に基づき設立・運営されているため、教育の質が一定水準で保たれているのが大きな特徴です。
主な特徴
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制度化の背景と発展・制度改革の動き
日本語学校制度は、1980年代の「留学生10万人計画」を契機として整備が始まりました。民間校の急増による質のばらつきを受け、1988年の文部省運営基準、1989年の日振協設立など、質保証の枠組みが導入されました。
その後も制度改革は続き、2009年の日振協審査廃止、2019年の日本語教育推進法、2022年の告示基準改正など、社会のニーズに応じてアップデートが重ねられています。
2023年には文科省による新たな認定制度が創設され、
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- 認定日本語教育機関:教育課程、教員配置、施設設備、学習者支援体制などを審査し、文部科学大臣が認定
- 登録日本語教員:認定機関で教えるための国家資格
が制度として整備されました。
2029年4月以降は留学生受け入れが認定日本語教育機関に限定されるため、多くの学校が認定取得に向けた準備を進める必要があります。
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制度改革がもたらす新たな方向性と、広がる日本語学校の役割
現在、政府は日本語教育を「留学・就労・生活」の3類型に再整理し、目的に応じた教育基準を整える方針を示しています。また、教育の質が特に高い機関を「優良機関」として認定する制度の検討も進められており、企業・自治体が信頼できる教育機関を選びやすくなる見込みです。
こうした制度整備は、日本語学校の役割を「留学生教育」に限定せず、
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- 就労者の日本語教育
- 生活者支援
- 地域社会との連携
- 企業との協働
へと大きく広げる方向で進んでいます。日本語学校は今後、教育提供者であると同時に、地域・企業と外国人をつなぐ 社会的インフラとしての存在感が求められていきます。
さらに地域の日本語教室については、ボランティアの自主性を尊重しながら、自治体が支援・調整を担う仕組みの整備が検討されています。学校教育のノウハウと地域活動の柔軟性を生かした、新しい連携モデルの構築が期待されます。
現状と今後の課題
約7割の日本語学校は株式会社・個人事業体によって運営されており、非常勤講師中心の体制や待遇格差、学習者の多様化への対応など、持続的運営に関する課題が残っています。
また日本語学校制度そのものが大学進学を前提として設計されてきたため、就労者・生活者教育への対応が構造的に難しいという問題もあります。
こうした課題を踏まえ、国は教育機関の目的・役割を整理し直し、質保証の強化と制度の再設計を進めています。今後は国・自治体・企業・教育機関が連携し、現場の声を反映させながら、持続可能な日本語教育の仕組みを構築していくことが重要です。
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日本語教室とは――地域に根ざしたボランティア教育
地域の公民館や国際交流センターで開催される日本語教室は、文化庁や自治体の支援のもと、ボランティア中心で運営されております。制度的な基準はなく、教材や指導法、教育内容は教室ごとに異なります。
主な特徴
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地域日本語教室は生活支援や地域交流の役割が強く、外国人住民が地域に溶け込むための第一歩となります。ただし、体系的なカリキュラムや評価体制が十分でないこと、教室ごとの教育品質に差があることが課題です。
日本語学校と地域日本語教室の比較
| 項目 | 日本語学校 | 日本語教室(日本語講座) |
| 目的 | 進学・ビジネス・試験対策 | 生活支援・地域交流 |
| 運営主体 | 法務省告示校、民間教育機関 | 地方自治体、国際交流協会、市民団体 |
| 講師 | 専門資格を持つ日本語教師 | ボランティア中心(資格不要、一部資格も必要) |
| 授業形式 | 校舎中心、企業派遣・一部オンライン可、1週間20時間以上・1年間760時間以上 | 公民館・地域施設、週1回程度 |
| 費用 | 有料(年間60〜90万円) | 無料または教材費のみ、小額費用負担 |
| メリット | 体系的学習、ビジネス日本語・試験対策可 | 無料で参加でき、日本人との会話練習が可能 |
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これからの日本語教育に求められるもの
外国人材が「どの場面で日本語を使うのか」「どの程度の上達を求められるのか」によって、選ぶべき学習機関は異なります。
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今後の日本語教育政策では、日本語学校がもつ制度的な安定性と、日本語教室がもつ柔軟な運営スタイルをいかに組み合わせるかが重要な課題です。
さらに、企業や自治体には次のような連携・支援の仕組みづくりが求められます。
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特に、働く外国人のための日本語教育は、時間や場所の制約を超え、企業が自らの人材戦略として取り入れるべき領域として注目されています。
外国人材のための日本語教育の選び方
企業や自治体にとって日本語教育は、業務の円滑化、職場定着、安全確保のための重要な基盤です。
学校を選ぶだけでなく、教育の仕組みそのものが現場に適合しているかを見る必要があります。![]()
日本語教育導入の4つのポイント
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目的に合った日本語教育を選ぶことで、外国人材の成長だけでなく、組織全体の国際化・多様化への対応力を高めることができます。
RINXsOnlineの業種別に特化した外国人材向け日本語教育
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RINXs Onlineでは、日本で働く外国人材に向けて業種別に特化した日本語教育を提供しています。会話中心や資格試験中心の学習が多く、仕事に直結する専門日本語を学べる機関がほとんどないなか、現場で使える実践力の習得を重視しています。
日本語上級者向けの専門日本語にも対応しており、職場で必要となるコミュニケーションや文書読解などを強化できます。さらに、特定技能評価試験(1号・2号)の対策も行っており、制度理解から専門用語、試験形式の対策まで一貫してサポート。外国人材が日本で確実に活躍できる力を身につけるための学習環境を提供しています。
対応分野
- 特定技能16分野
介護/外食業/宿泊/農業/漁業/建設/鉄道/林業
自動車整備/航空/自動車運送業/飲食料品製造業
工業製品製造業/ビルクリーニング/造船・船用工業/木材産業 - その他分野
IT・エンジニア など
※将来的には、物流倉庫の管理・廃棄物処理・リネン製品の供給なども追加予定
対応言語(30言語以上)
🔹多言語での補助サポートすることで、入門〜初級者も安心して学習が開始できます。
| 英語 / 中国語 / スペイン語 / アラビア語 / フィリピン語 / カンボジア語 / ネパール語 /ミャンマー語 / モンゴル語 / スリランカ語 / インドネシア語 / ベトナム語 / … ほか多数 |
コースラインナップ
🔹業務内容や学習目的に合わせてカスタマイズが可能です。
- 会話コース:語彙・表現力を広げ、コミュニケーション能力を強化
- 仕事の日本語:上司の指示理解、業界専門用語習得
- 資格取得/評価試験対策:種試験対策、介護福祉士国家試験対策
- JLPT試験対策:過去問演習+独自カリキュラムで合格支援
- 特別会話コース:カジュアル〜フォーマルな表現を学び、実務に応用
豊富な講師陣と柔軟な学習スタイル
- 高いスキルを持つプロ講師陣
日本語教師・外国人講師ともに経験豊富。業界経験と日本語教育経験を兼ね備えた人材が多数在籍。海外在住・バイリンガル講師を含め、800名以上の規模。 - 実践型・カスタマイズ可能なプログラム
日常会話からビジネスシーンまで幅広く対応。ビジネスマナー、異文化理解、プレゼン方法など、ご要望や業種・課題に応じて個別設計が可能。初級から自然に習得できるカリキュラム。 - グローバルかつ柔軟な受講環境
オンライン24時間対応で、世界中からアクセス可能。海外在住講師による国際的な学習体制。 - 安心のサポート体制
補助金・助成金に関するコンサルティングも専門チームがサポート。
RINXsOnlineは、18分野に対応した実践的な日本語教育を通じて、外国人材が日本で安心して働き、長期的に活躍できる環境づくりを実現します。
RINXsOnline強み(他校との比較)
| 項目 | RINXs | 一般的な日本語学校 | オンライン日本語スクール |
| 講師数・特徴 | 800名以上。海外経験豊富なバイリンガル講師、業界経験者多数。24時間対応可能。 | 約50名。対面授業が中心。日本語を日本語で教える直接法。 | 約100名。若手講師が中心。オンライン授業が得意。 |
| 授業形態 | 受講生に合わせた学習方法(直接法/間接法)を選択可能。 | 対面授業中心。カリキュラム固定。 | オンライン中心。決まったカリキュラムから選択。 |
| レッスン内容 | 入門〜上級、日本語ビジネス、JLPT対策、業務用語(建設・介護・製造など)。 | 入門〜上級、進学コース、JLPT対策。 | 入門〜上級、日本語ビジネス、JLPT対策、会話コース。 |
| 教育費用サポート | 助成金・補助金の申請支援が可能。 | 利用不可。 | 利用不可。 |
| 無料体験 | あり(1回)。 | 各校により異なる(多くはなし)。 | あり。 |
| 入会金・学費 | 入会金無料。費用は助成金活用で軽減可能。 | 入会金5〜10万円。年間85万円前後の学費。 | 学校による。 |
| 企業へのメリット |
– 助成金活用によるコスト削減
– 業務直結の実践的日本語教育 – 柔軟な時間対応(24h) – 定着率向上を支援 |
– 対面教育で基礎学習に強み
– 学生ビザ発給可能 |
– 手軽に学習可能
– 若い講師とのコミュニケーション重視 |
採用実績の紹介
教育機関から国内外の企業・団体まで幅広いパートナーと連携し、日本語教育・人材育成をサポートしてきました。その一部をご紹介します。
国公立・私立大学における留学生向け日本語補講や会話コース(N2レベル)、国内外の日本語学校での補講レッスンや入国資料翻訳、さらに研修センターにおける入国後講習、ゼロ初級者向け会話指導などを展開。英会話分野では子ども向け国際交流イベントの実施も行っています。 |
監理団体・登録支援機関向けには、技能実習生のJLPT N1〜N5試験対策や会話コース(建築・製造・介護・外食など)、仕事の日本語(オフィス編)を提供。また、食品・機械メーカー、人材紹介会社、社労士事務所では、ビジネス日本語やJLPT N4対策、グローバル人材採用サポートを実施しています。 |
インドネシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、ガーナ、スリランカの送り出し機関と協働し、現地教育や人材育成を支援。さらに、日系企業向けにはタイでのビジネス日本語、シンガポールでの初級/特別会話、フィリピンでのJLPT対策、マレーシアでの駐在員向け英語・中国語、中国でのIT人材向け面接対策を展開。日本語学校や人材紹介会社とは、教育コンサルティング、講師育成事業、人材・留学生紹介サポートなどを実施しています。 |
🔹このように、RINXsOnlineは「受講者中心」かつ「企業目線」で、最適なプログラムを個別にご提案・設計しています。人材の定着・活躍を本気で考える企業にとって、実効性のある教育パートナーとしてお役立ていただけます。
まずはオンラインにてお打ち合わせしてみませんか?
上記の日程から選択いただくか3つほど以下のメール宛てに日程をいただきますと弊社よ
連絡先:support@rinxs.co.jp
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